FJCP59+BF

言葉の巡礼/京都

53

 点のみでしか見えていなかった物たちが、線となり高さと厚みを帯びてゆく感覚。昨日に道で偶さかすれ違った人文地理学の教授に「また研究室に遊びに来てください」と言われたのを、律儀かつポジティブに捉え早速お邪魔した。久方ぶりにこれまでの学びの報告も兼ねて、お話をする。ノルウェーの禁酒政策とキリスト教保守勢力の関わりについて抱いてる興味を語ると、翻訳に携わった書籍をくだすった。

 

 「アルコールと酔っぱらいの地理学」目次に記されたジェンダーエスニシティの二語に、既にワクワクが止まらない。「きちんと読んでくれそう」と託してくだすったのが嬉しくて、一気に読みベッドサイドに飾る。学びの根底に横たえるのは間違いなく神学だけれど、そこからジェンダーや地理学へと知を生み出してゆこう。教授と話している最中に胸に湧き上がった純粋な意欲を、それが在り続けられる勉強をこれから先も私はしたい。

 

 書は捨てないし、町にも出る。