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言葉の巡礼/京都

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 タイトルが思いつかなくて素数にしていたのだけれど、洗面器にヒヨコ豆くらいの数学センスで考え続けるのには限界がやってくる。

 

 23時のフロアで揺れていた。クラブメトロに石野卓球とアスパラのDJで体を揺らしに、そんな金曜の夜。時間の許す限りいつも一緒にいる友人たちと、顔を近づけて、遠のけて、手を重ねて、離して、クラブナイトは瞑想と似ている。カレンダー上を跨いで石野卓球が登場すると、友人曰く「善良な暴徒が集うゴッサムシティ」と化す会場。翌日の労働を憎らしく思いながら、白目を剥いて帰宅する。夜の冷えた土の香りを鼻に擦らせながら、初めて吸ったラッキーストライクは美味しかった。

 

 暮らしの全ては虚構、アルバイトのことは「上司を山に埋める」と呼んでいる。汗水流して彼を山に埋めた。シャベルの重みはジェンダーバイアス丸出しのその人から受ける苦痛と同量、何度も何度も私は土を上司に被せてゆく。やがて何も聞こえなくなった、山肌は紅葉までもう少し。

 

 人型を模した虚無が烏丸通を歩いていると、友人からピザを食べに来ないかと連絡がきた。バスに飛び乗り、友人宅へ。ピザを食べながら韓国のオーディション番組を観て、ひたすらに笑っていた。「モルゲッソヨ(わからない)」と連発する審査員がいて、知っている韓国語がひとつ生まれる。

 

 明日のことだなんてモルゲッソヨ、誰しもモルゲッソヨ