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言葉の巡礼/京都

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 勤務明けにスタバへ寄る。朝から金太郎飴の切り口みたく接客をしていたので、ドリンクを待っている時に入ってきたお客さんに「いらっしゃいませ」と返していた。ガラス扉の向こうに人が見えれば声を掛ける、私はパブロフの犬だ。

 

 読まなければと思いながら床に積まれてゆく本たちが、遂にベッドの高さを追い越した。紙でできた九龍城を前に、読みたい本が取り出せず困っている。途方に暮れながら、しかし懲りずに大垣書店で漫画を買った。 和山やま「夢中さ、君に。」飄々さとユーモアの満漢全席、爆笑というよりも絶えず鼻で笑いたくなる描写たち。

 

 学部の年下の友人が連絡を寄越してくれた。オリンピックをひとつ跨ぐ期間を隔てる年の差に、いつもなぜかソワソワしてくる。関係ないけれど昨晩の懇親会で「女子といえばキルフェボンのタルトが好きだと決めつけ、勧めてくる教習所の教官に辟易した」とジェンダーバイアスにまつわる話をしたら、周囲の人たちが偏見が残る一定の年齢層を「キルフェボン世代」と呼び始めるムーブメントの誕生に立ち会う。

 

 もう何もしたくない夜にはル・ポールのドラァグレースを観ればいい、弱さを認めることも強さだと私は知っている。