FJCP59+BF

言葉の巡礼/京都

5

 明け方からミネストローネを作る。冷蔵庫にあるだけの野菜を、親の仇ほどに切ってゆく。スープというよりは汗をかいたサラダができあがった。最後に中濃ソースを少しだけ回しかけると、味が締まり美味しい。

 

 6回に渡り受講していたフェミニズムに関する講義の懇親会へ。最近の関心の一つであったセックスワーカーという職業について、教授とパッタイをつつきながら意見を交わす。海老のすり身フライが身体の奴隷の身には沁みて仕方がなく、ひとり2個ずつの計算だったけれど素知らぬ顔で箸を伸ばした。帰りしなに意地汚かったと反省。

 

 前の席に座った教授は死んだような目をしていた。生気を帯びず、明日を知らない瞳に弱い。自身の研究分野に関しては目を輝かせながら語っており、五体投地で真剣交際をお願いしたいレベルでタイプだった。最寄りの駅が一緒だったので好きな映画の話をしながら、ふたり歩く。純粋な知の価値を見出せる人は美しい。

 

 3日ぶりに煙草を吸った、生の味。