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言葉の巡礼/京都

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 傘を携帯しない友人と、そんな彼の紹介で知り合ったチャーミングな友人と中華を食べに雨の木屋町。帰りしな、ガボールで煙草を燻らせながらぽやぽやとお茶をした。山奥の英会話教室で働いている間に流れる時間と、いっとう居心地の良い関係性の友人たちとたゆたう時間、どちらも等しく3時間なのにこうも違う。余韻に浸りつつ帰宅。

 

 NYで食に関連した仕事に従事する人々をフォーカスした本を読んでいて知った言葉「プルートスのマドレーヌ」が堪らなく好きで、人に会う度に伝えている。マルセル・プルートスの小説「失われた時を求めて」の中で主人公がマドレーヌを食べたことを契機に、幼い頃の記憶がありありと思い出されたエピソード。思い入れのあるものを食べることで、一気に過去へと引き戻される誰しもが持つ思い出の味。「想起させる」の一言に納められる言葉に、こんなにも美しい装飾が存在している。

 

 夜毎世界の滅亡を描いた映画を観ている、五度目の壊滅的な被害を地球が受けた。