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言葉の巡礼/京都

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 代理講師として山奥の英語教室までやって来た先生に、受付として雇われた私がレッスンを受けた。閑散期だから、2日前に上司になったばかりの人の繰り返し弾む声を背景に恐る恐る彼と向き合う。チョコレート色の綺麗な肌、雨粒みたいな瞳。

 

 「今日の気分は?見たらわかるけれど」「もちろんナーバスです、いきなりパーソナルな話をするのは少し緊張するから」「大学では何を専攻しているの?」「神学です、特にキリスト教」「関心があるトピックは?」「アメリカ南部の教会コミュニティとLGBTQの関係性」「なんだって!?僕らは今すぐに友達になれるね」

 

 ルイジアナからやって来た美しい人と、クィアな連帯を深める昼下がり。彼にいっとう好きな映画と音楽の話をし終える頃、雨は止んでいた。